映画「アンドレア・ボチェッリ 奇跡のテノール」公式サイト » Interview

Q.アンドレア・ボチェッリの自伝が原案ですが、どの程度脚本に反映させたのですか?

A.原案にほぼ忠実に書きました。彼は生まれた時に部分的に視覚障害がありました。その後回復の兆しを見せ、そして手術によってさらに少しだけ視野を取り戻しました。盲学校に通っているときサッカーボールが目に直撃して、それが原因で再度視覚を失ってしまいます…。本作は彼が有名な歌手になるまでの人生を描いています。転換点は有名歌手のズッケロと共演したコンサートです。ズッケロはこのデュオで「ミゼレーレ」を披露しました。元々はルチアーノ・パヴァロッティとツアーを回っていましたが、彼の体調が悪くなったためボチェッリに話が来て、ここからキャリアがスタートします。ここに来るまで彼はとても長い間待たされました。名が知られるようになったのは40歳になろうかという時でした。

Q.映画製作においてボチェッリとは密に連絡を取り合っていたのですか?

A.ある部分ではね、よく連絡していました。友人になりましたよ。脚本は『イル・ポスティーノ』(94)でも参加してくれたアンナ・パヴィニャーノと共同で作りました。また一緒に仕事ができて素晴らしい時間を共有できました。存命の人の伝記映画は多くの困難が付きまといます。その人の私生活のリズムと映画で描くべきリズムは別物なので、そこを変えなくてはならない。本当のことを偽るのではなくて映画的にするのです。存命であればその部分に口出ししてきますから。目は見えなくても聞くことはできますしね。「いや、そこはそうではなかったな」とかね。でもボチェッリは映画をとても気に入ってくれました。

Q.「この人にボチェッリを演じてほしい」とあなたに思わせたトビー・セバスチャンはどうでしたか?

A.私だけではなく、みんながそう思っていました。初めてトビーと会った時、とても良い俳優でボチェッリに似ていなくもない、そっくりというわけでもないがきっと彼はボチェッリになれると思いました。ボチェッリの家族も含めてスタッフ全員がそう思ったのです。

Q.アントニオ・バンデラスがボチェッリのマエストロとして出演していますが、キャスティングの決め手は何ですか?

A.映画を撮るときは名前のある俳優を起用しようとするものです。その方が売れますから。アントニオ・バンデラスはイタリアで大スターです。もちろん世界的スターですが特にイタリアで大人気なのです。実際仕事をしてみて、彼は絶対的に、圧倒的に、素晴らしい俳優でした。完全に役に入り込み、たくさんのアイデアを出してくれました。

Q.この映画を観る人は涙を流すでしょうか?

A.もちろん(笑)。私は本作をとても気に入っているし、感動ポイントもありますから!